クリエーター向け 仕事道具

ブランチャード ネジ捻の仕立て -Vergez Blanchard-

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フランス老舗工具メーカーのブランチャードネジ捻という工具の仕立てについて記事を書いていきたいと思います。文章にするのが本当に下手なので、読みづらい部分があるかと思いますがぜひ最後までお付き合い下さい。

ブランチャード社とは

フランスの工具メーカーでとても古い歴史があります。また有名ブランド、エルメスの職人さんが使用している工具としても有名です。とても堅牢かつスタイリッシュな作りで世界中の職人さんから愛されています。

今日はそのブランチャード製の工具の中から「ネジ捻」というものの仕立てについてです。

捻とは

捻という工具には数種類あり各々色々な使い方があります。ここではその名称や使い方などについての説明は省きます。

ネジ捻は二重捻などともいう

2本の鋼材が枝割られして出来ており、先端部にネジが埋め込まれ、それを回すことによって間隔が変えられる便利な道具である

使用方法

革製品は手縫いをする際に、目打ちといって、フォークの様な物であらかじめ縫穴の印をつけ穴をあけながら縫っていきます。

革製品の物にもよりますが革の断面からおおよそ2~3mmの位置です。しかしガイドになるものがないまま革に痕を付けてしまうと当然ガタガタですよね?つまり革の断面から均等な幅で目印の線を引きたい訳です。そこで登場するのが今回のネジ捻という道具になります。

購入時のものは全く使える状態ではない!?

購入後そのまま放置していた為か、黒ずんでいて湿気のせいか若干赤サビもみられます

ブランチャードに限ることではないのですが製造業で工具というものは、基本的に吊るしの状態では使い物にならない物が多くあります。革用工具でも同じ事が言えます。ではどの様に使い物にならないのでしょうか。

 

鋼材が磨かれていない

まずガイド線を引きたい訳ですから、鋼材の先端の部分が荒れていてはせっかくの革に傷がついてしまいます。

また、先端の部分の厚みなどが均一でないと線を引く際に細くなったり太くなったりしてしまいます。目印にしたい訳ですから均一で細身の線がクッキリ入っている事、これが理想な訳です。

そして2本の鋼材の役割は、向かって右側の鋼材がガイドになります。

つまり革の上にはこず断面に沿ってスライドする訳です、そして向かって左側の鋼材で線を付けていきます。

 

左右対照で同じ長さで作られいる

この2本の鋼材なのですが、基本的に左右対照で形状も同じ長さで作られてます。しかしながら想像して下さい。

同じ長さの2本の鋼材で革に線を引いたら...

脱線しますよね?

そうならないために右側に傾けて斜めに引く方法もあるのですが、そうすると線が太くなったり、思った位置に正確に線が引けなかったりします。革製品の0.1mmの誤差は仕上がりに大きく影響します。

つまり2本の鋼材のうち左側(革に線を引く方)が短くなっている必要があります。ではどうして、最初から不揃いで作らないのか?

コスト?好み?正直なところ、本当の理由は私にはわかりません。

ですが言える事は、革職人には道具の好みがあります。

どれが正解というのはありません。ですから均等に作っておけば良い訳です。形を変えたい人は自分で加工し、そのままが使いやすい人はそのまま使えば良い訳です。

実際に削っていく

左側の鋼材を短くしながら形を作っていきます。この時気をつけるのは、ただ短くなれば良い訳ではありません。先ほども書きました通り、均一な線を引きたい訳ですが、先端部の鋼材の幅は揃えておきたい訳です。

向かって左側を加工していきます

こちらを均等な厚みのまま短くしていく訳です。難しそうに聞こえますが慣れればとても簡単です。

まずはホームセンターなどにも売っているダイヤモンドヤスリの荒い方でガリガリ削っていきます。同じ厚みになるよう力加減を調節しながらです。

研磨すること10分

上から見ると少しではありますが右側が短くなりました。

ネジ捻を反対向きにしたので左側ではなく、右側が短くなったのです。このくらいで十分です。
実際の肉眼ではもう少し短くなってます

形状が決まってきたらあとはヤスリの番手を上げていき、ただただ無心で研磨します

この状態で6種類のヤスリをかけ終えました

正直もうこれで実践レベルですが、職人とは拘りが強いもので...

次にピカールでバフ掛けをします。ピカピカになりました...

が、まだまだ物足りないので、終えません。ここからさらにヤスリを細かな番手に変えていき磨き上げます。

最終的な鏡面仕上げ

とてもピカピカの鏡面になりました。しかしこのブランチャードネジ捻にはもう一つ落とし穴があります…

持ち手の加工

ありがたいことに持ち手の部分の木材にタップリ厚めにニスが塗ってあるのですが、所々欠けていたり、何よりもテカテカでダサい。

という訳で、こちらも研磨していきます。

やすり掛けをし全部剥がす

麺棒みたいになりましたね。この状態では木材が可哀想なので、当店オリジナルのミツロウクリームで磨き上げます。

ミツロウクリームの販売ページはコチラ

 

木部にミツロウが入り込みなんとも言えない艶が出ました。見た目だけではなく汚れや腐食などから木部を保護してくれる役目もあります。

 

完成品と比べてみる

さていよいよ完成しました。写真で見比べてみましょう。

とあるハンドメイド仕立ての国産メーカーの緻密な作りのステンレス製ネジ捻と比べてみました。ステンレス製にも引けをとらないのではないでしょうか?

完成

向かって左側をメインに磨きました。右側に比べて厚みも細くなり、均等に仕上げてあります。

ここまでの所要時間は1時間半といったところでしょうか。

素手でやるのは注意が必要!?

私は職人なので手の汚れも気にせず素手でやりますが、趣味の方々は必ず手袋を付けてやりましょう。油汚れで指が真っ黒になります。

最後に

さて本日はネジ捻の仕立てでしたが、いかがでしたでしょうか?

こういった仕立ては別に海外製だからとか、ブランチャードだからという訳ではありません。国内で売られている物でも同じことです。

近代工具の登場

最近では、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどを中心に吊るしの状態でもとても質が高く、加工いらずでそのまま使える工具が沢山出回っています。また値は張りますが、希少な木材を使ったり、鋼材にもとても拘った物も多く使う側としては有難い限りです。趣味でやられている人の中には工具をひたすら集めているコレクターの方も多くいるみたいです。

今ではインターネットがとても普及しましたから簡単に海外から物を買い付ける事が可能ですし、私もInstagramを通じて、世界中の方と交流出来る様になりました。

[blogcard url="https://www.instagram.com/maacraft.jp/"]

工具は人が使うもの

しかしながら一流工具が手元にあったとしても、それを使うのは人間、自分自身な訳です。工具を使い慣れる必要もありますし、相性もあります。物が簡単に手に入る時代ですが、どんなに高価な工具よりも、自分が使いやすい様に、使いやすい角度に、形に、大きさに、、
それが1番大切な事かもしれませんね

今回は長いブログでしたがご覧頂きありがとうございました。

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